エッセイ

妊娠したら会社に解雇され、電車では誰にも席は譲られなかった

妊娠したら会社に解雇された  

妊娠したら会社をクビになった。産休、育休をとられたら困るから解雇だそうだ。

法律で決まっていても無理、訴えられようが無理、と。

妊娠前までは入社したときから子供楽しみ、預けられなければ連れてきて仕事していい、家で仕事していいなどと言っていたのに妊娠したとたん態度豹変。

発覚してすぐに伝えたのに妊娠2ヶ月でいうなんて遅すぎる、なんでもっと早く言わないんだとキレられた。

それより早くわかるなんて医者や神ですら無理だろう。

50のおっさん(社長)の無知さと人でなしさに呆れた。

違法解雇なので労働局は裁判すれば確実に勝てると言ったが身体の方が大事、結局ながながと体力気力を使う裁判なんてできないってみんなわかっている。

共働きで出産後も保障される筈だったお金は一銭も入ることなく、私は専業妊婦になった。

もともと忙しい夫は私たちのために更に働いてくれている。

有難いけれど、おかげで私たち夫婦の時間は減ってしまった。

機嫌の悪い妊婦の私に夫はいつも優しい。

悪態つこうがにこにこといろいろやってくれる。

毎晩寝落ちしそうになりながらもマッサージしてくれる。

頑張ってくれてありがとうと声をかけてくれる。

ヨロヨロしている私をいつも病院に連れていってくれる。

寝たら起きない人だったのに夜中に苦しむ私にすぐに気付いて起きてさすってくれる。

いつもかわいいきれいだと褒めてくれる。 

こうやって並べてみると夫がいかに素晴らしい男かということが改めてわかる。

いつも私は悪態ついてイライラをぶつけているけれど、なんて優しい夫なんだろう。よく私なんかと結婚生活を続けてくれているな。大事にしなきゃ。なにより大事な人なんだけど、私は夫に甘えすぎてしまっている。

妊婦に対する世間の対応

期待していたわけではないけれど、見事に一人たりとも電車で席を譲ってくれたことはない。

臨月の突き出たお腹、どうみても妊婦。

優先席のエリアに立っていても絶対に譲られはしない。

優先席陣取って携帯ゲームしている若者、寝たふりしているおじさん、いまから遊びに行く話で盛り上がっているOLたち。目の前に妊婦、乳児連れ、お年寄りがいるのに。 

みんな疲れているのはわかる。座りたいよね。

でもさ、子供の頃教わらなかったかな。

お年寄り、体の不自由な方、妊婦には席を譲りましょうって。

私は幼稚園の頃からそうしていたけど。親にそう教えられたけどな。当たり前だと思って育った。

見た目でわからない人もいるから気付けない場合もあるけれど、お年寄りとか中後期の妊婦ならわかるでしょう。

松葉杖ついている人がいても誰も譲らない光景もみたことがある。

夫はもっと図々しくなれっていうけど、実際けっこう怖い。ジロジロやたら見てこられたり、乱暴されたり暴言吐かれる妊婦だっている。

普段気が強いくせにお腹に小さな命をかかえていると怖くて強気にはなれない。だって少し押されたりするだけで大変なことになるかもしれないじゃない。妊婦マークも怖くて一度も使わなかった。アピールしていて腹立つと感じる人もたくさんいるらしい。

ただおとなしく、なるべく人の少ない時間に電車に乗る。

夫が一緒じゃないとほぼ電車には乗らない。友達も家族も優しいので私の家や近所に来てくれる。有難い。 

まとめ

 妊娠が理由でいらない人材に認定された私は自分の存在が意味はないものだと思いました。それどころか存在が迷惑なのだと。世間でも少しも大事にされないとも感じました。

出産してからも社会からは孤立し、自分がいらない人間のように感じていました。

ですが新たな命の誕生は最も大切にされるべきことの一つです。周りに関わる全ての人が優しくなれることを願います。