エッセイ

愛する人と出会って変化した物欲

誕生日やクリスマスに私はワクワクしながら相手へのプレゼントを考える。

それが相手への愛だと思うから、とても幸せな気持ちでギフトを選ぶ。

私はもらうプレゼントは何だっていい。私を想って選んでくれたということが最高のプレゼントだと思うから。

私は電池でも消しゴムでも喜ぶ。

夫は私に物欲がなさすぎるといつもプレゼントには困っている。私はモノをほとんど買わないし、欲しいものはいつも別にない。

十数年前の私はいつも欲しいものがあった。夫と出会う前のことだ。

いつでも友達や男に囲まれていたが心は満たされず、モノで心の隙間を埋めようとしていた。

いつも着飾る何かが欲しかった。ブランドバッグを欲しがった。毛皮のコートを欲しがった。輝くジュエリーを欲しがった。私に与える金額、それで男を測った。

なぜ満たされなかったのだろうか。

後になってわかったのはあの頃いくら恋をしていても本当に愛したことなどなかった。

本当の素の自分をそのまま愛してくれる人にも出会っていなかったし、私もそのままの相手を受け入れてはいなかった。


私は夫といるようになってすっかり欲しいものがなくなった。

常に心が満たされているからだ。心から愛し愛されているという実感が常にあるからだ。

モノや金にとらわれていたあの頃の私は心の貧しい愚かな悲しい女だった。

今の私はあの頃のような若さも高価な物も持っていなくても、とても豊かだ。

生きる上でたくさんの欲はある。やりたいことはこの上なくある。だけどモノなどいらない。着飾って美しくなった気になってだれかに認めてもらいたいという欲はこれっぽっちもない。

愛する人が元気に笑っていてくれるということが私の大事なこと。